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『シン・ゴジラ』人類学者の評価・考察(※ネタバレほぼナシ)

 2016年に話題になった「シン・ゴジラ」をようやく観た。

 印象的だったのは、現場の隊員から自衛隊の最高指揮官である総理にまで報告が上がる過程。大会議室に総理大臣(序列一位)、防衛大臣(序列二位)、統合幕僚長(序列三位)がいて、現場に近い司令部にいる東部方面総監(序列四位)が前線の戦闘隊長(序列五位)から受けた報告をそのまま統合幕僚長(序列三位)に報告。その後、幕僚長(三位)と総理(一位)は同じ部屋にいて声が届くのに、幕僚長は隣の席にいる座っている大臣に報告し(※総理も聞こえている)、そのまま大臣が総理に一字一句そのまま報告。
 その後の総理(一位)の指示は大臣(ニ位)→幕僚長(三位)→東部方面総監(四位)→戦闘隊長(五位)→現場隊員(六位)に伝えられ、現場の報告はその逆の流れで伝わってくる。(※ちなみに、2009年までは防衛省に内部部局という組織があって、防衛大臣(二位)と統合幕僚長(三位)の間にさらに防衛参事官が入っていて、報告が到達するまで今よりももっと時間がかかっていた。)

 今まさにゴジラが街を破壊しているにもかかわらず、それでも原則(報告順位)に一切背かない政府・自衛隊のその姿勢は、原則の遵守に固執しすぎるあまり目的と手段を履き違えた例を示している。まさに3.11の対応の遅さを皮肉った(というか忠実に再現した)庵野秀明監督らしいアンチテーゼ。

 ただ、この作品のすごいところは、既存の法律や手続きに縛られることによる不自由さや損失を描きながらも、主人公である長谷川博己が演じる矢口蘭堂内閣官房副長官が、そのルールをひとつも破ることなく、すべて正規の手続きを踏んで問題を解決した点にあるといえる。
 よくあるB級映画であれば主人公が破天荒ぶりを発揮してルールを破って(なんとか問題を解決して)、「ほら、問題解決したでしょ?(結果オーライ!)」と言わんばかりのエンディグだが(※だいたいアメリカの映画に多い印象)、この点に関しては、この作品はよく仕上げたと思う。

 作中で、長谷川博己(矢口蘭堂)が将来は総理大臣になるかもという話があったが(※本人(矢口)は否定)、こういう(既存の法や手続きを踏む苦労を知った)人間が組織の中枢に入っていくと、もしかしたらより円滑に対応できる法をつくるのかもしれない。

作品情報

【シン・ゴジラ】
・総監督・脚本:庵野秀明
・監督・特技監督:樋口真嗣
・出演者:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ
東宝製作のゴジラシリーズの第29作。
キャッチコピーは、『現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)』

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