人類学者の雑記ブログ(脳科学から統治理論まで、理系文系幅広く。)

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『犯罪者』が生まれる原因は何か。脳科学の観点からの考察

 アメリカの、とある青年の話。

『最近、ちょっとイライラする』と感じながらも日々の生活を送っていた青年。
しかし、時間が経過するにつれてそのイライラはどんどん大きくなっていった。
心配になった青年は、自分の日記に

『最近、自分が自分でなくなるような感覚に見舞われる。もしも私に何かあったら、私の脳を解剖してみてほしい』

と書いた。

 それから数ヶ月後、彼は銃乱射事件を起こして十数人の命を奪うことになる。
青年は現場で射殺され、彼の脳は解剖されることになった。

 解剖の結果、前頭葉(理性を司る部位)に縮小がみられ、それが事件の引き金となったことが分かった。

 ここで考えさせられるのは、
法律学的にみれば彼は確かに犯罪者(加害者)ではあるが、
医学的にみれば彼は疑いようのない被害者(病人・患者)であったということ。
前頭葉の縮小がなければ、彼は罪を犯すことはなかったといえる。

 ヒトが罪を犯すとき、
それはときに本人の制御不能な要素が原因となることがある。

 それゆえ人は、今一度『罪とは何か』を考えなければならない。
人は、一体何を責めるべきで、何に寛容になるべきなのか。

 たとえば今日、誰の素行を非難したくなったかもしれない。
しかし彼(彼女)のその素行は、彼(彼女)の制御が及ばない、いわば自然法則にも似た現象だったのかもしれない。

 ヒトの人格は、制御可能な“意志”と、制御不能な“脳の器質”によって形づくられるものだから、
もはやこの世には、“責めるべき罪”はあったとしても、“責めるべき人”など存在しないのかもしれない。

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