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【薬事法管理者監修】『医薬品』『医薬部外品』『化粧品』で使用可能な表現

『薬事法管理者』という肩書き

 このブログのプロフィール欄には書いていないが、私には人類学者や臨床心理カウンセラーという肩書き以外に、『薬事法管理者』という肩書きがある。しかし、それはこのブログのプロフィール欄だけでなく、名刺にも書いていない。

 余談になるが、学者の世界では『複数の分野に通じている者は“半端者”』と捉えられる傾向が強い。これは、学者という生き方が、“特定の分野における真理を一生涯にわたって追い続けてこそ一人前である”と考えられがちだからだ。それゆえ、『私の専門は○○と××です。』と言えば、そのふたつの分野が離れていれば離れているほど“寄り道をしている”を判断され、決して一流ではないと捉えられてしまうことがある。(例えば東京大学の学者陣の間では、『テレビに出る学者はせいぜい二流』と考えられる傾向があるらしい。これは、“テレビに出ているようなヒマがある学者は、研究がおそろかになっているに違いない”という認識から生じている。)

 ただし、私が薬事法管理者を名乗らないのは、周囲の学者からの評価を気にしているからではない。理由のひとつは、薬事法管理者の資格を持っているものの、それが本業ではないという理由である。人類学や心理カウンセリングに関しては平日のみならず、休日も少なからず関わりがあるが、薬事法となると決して毎日ように関わっているわけではない。また、初対面の相手に『人類学者』『臨床心理カウンセラー』であると同時に『薬事法管理者』と伝えようものなら、相手は『本当の専門分野は何だろう?』と混乱を招いてしまうおそれがある。それゆえ、プロフィールや名刺からは『薬事法管理者』という肩書きを除外している。

 とはいえ、私が薬事法管理者であることには変わりはないので、そんな私のもとに薬事法に関する質問がくることも少なくない。以下では、私が受けた質問と回答について記しておく。薬事法に少しでも興味のある人の役に立てればと思う。

そもそも、『薬事法』って何?

 薬事法は、『医薬品』『医薬部外品』『化粧品』、そして『医療機器』に関する法律である。この法律の趣旨は、医薬品でないものに医薬品と同様の効果があると謳うことを防止するという点にある。例えば、医薬品でないサプリメントについて医薬品のような効果・効能(例:『治癒する』『痩せる』など)を標榜すると、薬事法違反となる。また、医薬品にしか使えない成分を使った場合も薬事法違反となる。そのため、医薬品でないサプリメントを世に送り出す場合には、医薬品のみに使える表現が用いられていないかを確認する必要がある。その確認能力があると認定されているのが、『薬事法管理者』である。この資格は、薬事法に関連する学識経験者や実務経験者などによって構成されている『薬事法有識者会議』が実施する認定試験に合格することで得られる。

『医薬品』『医薬部外品』『化粧品』に使用可能な表現

 以下では、スキンケア用品を例としてあげる。スキンケア用品は、薬事法によって『医薬品』『医薬部外品』『化粧品』に分かれる。各領域(医薬品・医薬部外品・化粧品)の治療の効果(※ここでは、『身体の変化』全般を含む)は、以下のようになる。

・医薬品   :治療の効果『大』
・医薬部外品 :治療の効果『小』
・化粧品   :治療の効果『無』

 効果の違いから、それらを宣伝する上で許される表現は以下のようになる。

▼医薬品  ⇒“治療”(またはそれを連想させる表現)が使用可能

▼医薬部外品⇒“予防”(またはそれを連想させる表現)の範囲で使用可能※つまり、“治療”は不可

▼化粧品  ⇒“清潔・美化”(またはそれを連想させる表現)の範囲で使用可能※つまり、“治療”や“予防”は不可

 具体例をあげると、医薬品ではない医薬部外品の化粧水であれば『ニキビを防ぐ』は問題ないが、『ニキビを治す』は薬事法違反となる。また、医薬品でもなく医薬部外品でもない化粧品の化粧水であれば、『ニキビを防ぐ』も薬事法違反となる。

薬事法に抵触しない難しさと、回避方法

 薬事法によって禁止される成分や表現は、時代によって異なる。例えば、『コエンザイムQ10』という成分は2001年以前では医薬品にのみ使用が可能だったが、2001年の規制緩和によって医薬品以外にも使用が可能となった。使用が不可だったものが可能となる事例があると同時に、使用が可能だったものが不可となる事例もある。例えば、花粉に関する表現では以前は『花粉』のみであれば適法とされ、『花粉症対策』と表現すれば薬事法違反とされていたが、近年では『花粉』のみで薬事法違反になると認定され事例もある。

 時代の変化によるリスクを減らすためには、注釈を入れることで表現の意味を限定させるという方法がある。例えば、≪※医薬部外品。『ニキビケア』とはニキビ防止の意味です。≫といった注釈である。

◆事例
 以下は、『akaran』というメーカーから販売されている『エッセンシャルウォータージェル』の広告画像である。

アカラン エッセンスウォータージェル 120g
 画像の中央右にある『透明感』という文言の右上には注釈(※)が記されており、画像の右下にその説明として『つややかさ、滑らかさを指す』と書かれている。

 『透明感』という表現が“肌を(物理的に)透明にする”という意味であれば、これは治療(=身体の著しい変化)の効果を示すことになるので薬事法違反となる。これを回避するために、注釈を入れて透明感の意味を『つややかさ、滑らかさを指す』として、暗に『肌の表面が透明感があるように見えているだけで、治療(=身体(の内部やそのもの)の著しい変化)の効果を示しているわけではありません』と主張している。

薬事法の相談は、薬事法管理者へ

 多くの人が自由にインターネットを利用できるようになった近年、インターネット上には薬事法に関する多くの情報が掲載されている。しかし、時代の変化によって薬事法に関する文言の適法・違法の基準は変化するため、インターネット上での情報収集ではなく、情報の発信元が確認できる、信頼できる専門家に相談することが大切といえる。

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