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【薬事法管理者】『コラーゲンが肌に良い』は真実か虚実か。その効果の科学的根拠とは。

 『何となくの科学的な説明』を聞いて、食物などの健康効果や美容効果を信じてしまうことは多い。しかし、それらのすべてに必ずしも科学的な根拠や裏付けがあるわけではない。
 科学的根拠のない“俗説”であっても、直感や感覚に重きが置かれ、具体的な根拠を求めずに盲信されることがある。たとえば、『コラーゲンは肌い良い』という説である。

 『コラーゲンは、肌に張りや弾力を与える働きをしている』よって、『食品やサプリで摂取すると、美肌効果があるはずだ』という考えは、直感的かつ感覚的に理解しやすい。それゆえ、多くの人に受け入れられている説である。
 しかし実のところ、コラーゲンはタンパク質の一種であり、摂取しても胃や腸で分解されてアミノ酸として吸収される。そして、これらが体の各部位でタンパク質として再構成される際に、コラーゲンになるわけではない。
 従来、専門家はこうした理由からコラーゲンの摂取が無意味なものとしてきた。

企業の回答

 薬事法(薬機法)という法律上、医薬品でないものが『効果・効能』をうたうことはできない。(関連記事:【薬事法管理者監修】『医薬品』『医薬部外品』『化粧品』で使用可能な表現
 それでは、コラーゲンを含んだ健康食品やサプリメントを提供しているメーカー側はどのような立場をとっているのか。群馬大学名誉教授の髙橋久仁子氏は、『消費者庁が初の措置命令「健康食品」のウソを見抜く方法、教えます』というコラムの中で以下のように述べている。

私は以前、コラーゲン摂取に美肌効果があるかのように広告する企業に「コラーゲンを食べると肌の状態が改善されるのか」などの質問状を送ったことがあります(2011年)。

回答のあった2社(K社とI社)への質問と返事をご紹介しましょう。

まずK社には、同社の広告文言に関して「『飲むたびにうるおいを』というのは具体的にどういうことでしょうか」と訊ねました。この質問に対する答えは、「文字通り、飲んでいただいて喉をうるおしてほしいという意味です」でした。

続いてI社にも、やはり同社の広告文言について、「『おいしくうるおう』とありますが、なにがうるおうのでしょうか」と質問したところ、「止渇作用によって喉をうるおします」との回答がありました。

いずれの回答もうるおうのは「喉」であり、「肌」にはひと言も触れていません。

「うるおい」「うるおう」などの文言を配して広告していながら、このような答えが返ってくるのです。

なるほど、「肌がうるおう」は消費者側の勝手な解釈なのでしょうが、”コラーゲン神話”に便乗して販売しているととられても、仕方がないのではないでしょうか?

 すなわち、メーカー側は“『肌がうるおう』とは述べていないために薬事法(薬機法)上は違法ではない”という立場をとる。こう考えると、『コラーゲンに肌をうるおわせる効果がある』という主張は根拠がないと受け止めることができる。

科学の進歩

 ところが近年、話はそう単純ではないらしいということが分かってきた。コラーゲンに特有のアミノ酸を含む化合物を摂取すると、体が『コラーゲンが壊れている』と錯覚してコラーゲンの生成を促すメカニズムが働いている可能性を示唆する研究結果が報告されている。

 とはいえ、現時点ではコラーゲンが美肌に効くという決定的な科学的根拠は得られていない。それゆえ、食品やサプリの宣伝コピーとして使うべきではないといえる。もっとも、『コラーゲンを摂っても胃の中で分解されるから無意味である』という説明もまた、科学的に証明されていない。

 結局のところ、現時点ではコラーゲンの摂取が意味のあるものか意味のないものか、そのいずれも答えがでていない。そう考えると、肯定も否定もできない。そのため、『なんとなく良さそうなので摂取しておく』程度にとどめておくのが正解なのかもしれない。

◇関連記事:
魚に含まれるDHAやEPAは、サプリメントによる摂取では効果が立証されていない。
『風邪にはビタミンCが効く』という説には科学的根拠がないという説

◇参考サイト
「コラーゲンが肌に良い」はニセ科学か、それとも…ひとつの答え
消費者庁が初の措置命令「健康食品」のウソを見抜く方法、教えます

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