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日本人の睡眠不足が15兆円の経済損失をもたらしている

 2014年、OECD(経済協力開発機構)が世界29ヶ国の15~64歳の男女を対象に、平均睡眠時間を調べた調査結果を発表した。日本は、韓国の7時間41分に次いで7時間43分とワースト2位だった。

 20歳以上の日本人男女の睡眠時間を調査した『平成27年国民健康・栄養調査報告』をみると、30代では6時間以上7時間未満、40代では5時間以上6時間未満が40%近くなっており、『1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は、ここ数年で増加傾向にある』とされている。特徴としては、いわゆる働き盛りの睡眠時間が大幅に削られている。

 IKEAによる2012年の試算によれば、東京圏(744万人)における睡眠不足の損失額は4,757億円となっている。2016年の米国ランド研究所の調査では、日本人の睡眠不足による経済損失は年間で約15兆円、国民総生産の2.92%に相当すると発表されている。この比率は、世界ワースト1である。

 ある製薬会社での調査では、勤務中の眠気によって作業効率は4割低下しており、作業効率の低下や欠勤などの損失、交通事故などの損失を合計すると約3兆4,690億円に達している。この点、睡眠障害を予防することで1兆6,000億円の医療費が節約できるともいわれている。

 睡眠不足は、単に『眠い』という症状だけでなく、脳が休息できずに体のメンテナンス機能が働かないことを意味する。これにより、ストレスの増加や肥満、免疫力の低下、血圧上昇、生活習慣病(糖尿病、高血圧、歯周疾患、心房細動、脳卒中、虚血性心疾患など)のリスクが増加し、認知機能の低下によるヒューマンエラーが起こりやすくなる。イライラしやすいなど精神的に不安定な状態にもなりやすく、うつ病に発展するリスクも高まる。

 睡眠不足は、経済的な損失だけでなく心身に大きなダメージを蓄積させていくことになる。

◇参考サイト
5人に1人は寝不足の日本人を救う「睡眠テクノロジー」最前線

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